【完】アニキ、ときどきキス

「穂高からお金貰ってたっていうこと?」


「いや、だって、あいつが言うこと聞いたらくれるって言うからっ」


シーンと静まりかえる教室。

胸が締め付けられるように痛かった。


「望ちゃん?なんで泣いてるの?」


直太朗が心配そうに尋ねる。


私は涙を流していた。


「なんかさあ」


その時、遥がガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。

みんなが遥に注目する。


「ハゴにされてた、私や直太朗よりも、穂高の方が辛かったんじゃないの?」


パキっと教室の空気が固まったような気がした。


「・・・・・・私、行ってくる」


遥はそう言うと教室の扉をガラリと開けた。


「遥!」


私は出て行こうとする遥を呼び止めた。