【完】アニキ、ときどきキス

「今日、穂高さんはお休みですか?」


その子は、穂高の取り巻きの一人だった。

穂高の席をチラリと確認しながら、気まずそうに質問をしてきた。


「うん。体調不良でね」


その子は私の言葉を聞くと、周りに座っていた、その他の取り巻きの女の子達とヒソヒソと相談を始めた。


「ねえ、言ってほうがいいって」


「でもっ・・・・・・」


必死で何かを言おうとしている子とそれを止めようとする子。


その様子を見ていたクラスの男の子達が騒ぎだす。


「いい加減にしろよ。
もううんざりなんだよ、こんなの。
もう穂高の言うこと聞く必要なんてねえじゃねえか」


「今まで知らないふりしてきたくせに、分かったようなこと言わないでよ!」


「そうよ!何も知らないじゃない!」


「はあ!?なんだよ、それ!」


言い合いはどんどんエスカレートして、教室中が怒鳴り声で一気に沸いた。