【完】アニキ、ときどきキス

「そうですか・・・穂高さんのお母さんは今日来るんですね?」

「はい・・・なんだか頭が真っ白で」


「でも来てくれるって、北原先生にとっては救いだと思いますよ」


「え?」


顔をあげ、山田先生を見ると、山田先生は優しく微笑んでいた。


「だって、北原先生と直接話したら、そんなことする先生だなんて思いませんから。
絶対に」


「山田先生・・・・・・」


私のことを信じてくれている。

その気持ちがとても嬉しかった。


「直接話すと、相手の表情も見えるし、分かり合えると思います。
経験が浅い僕なんかの言葉じゃ不安かもしれませんが・・・大丈夫。
きっと誤解も解けますよ」


山田先生は立ち上がると私に手をのべた。


「さ、教室戻りましょう」


「はい。
ありがとうございます」


私は山田先生の手を掴み、痛む足をかばうように立ち上がると、教室へと向かった。