「ナツコ!」

下駄箱で靴を履いていると

後ろから呼び止められた。

「先生!」

担任の、原田先生。

「また担任なんだね〜」

「お前ら卒業させねーと!」

原田先生は、1年のとき

からの担任だから・・・

今年で3年目の担任・・・。

「今年もよろしくな。」

そう言って、先生は右手

を出した。その手に、

アタシは自分の手を重ねた。


先生たちは、アタシの

1番の理解者・・・親にも

言えないことも話せるし、

真剣に聞いて、一緒に

考えてくれる・・・なのに、

なんでみんな教師が嫌い

なんだろう・・・。

先生に挨拶をして、学校

を出た。あまり遅くなる

と、みんなが出てくる。

その前に、こっそり帰りたい。


体育館を横に、右に曲がる。


そこは桜の並木道。

枝垂れ桜が沢山並んでいて、


ここに来ると毎年春を感じる。


暖かい風に吹かれて、

桜の花びらが舞った。

「綺麗・・・」

ひとり言のようにつぶやく。