天然彼女の愛し方(完全版)




「廉君…」

『だから、“廉”だろーが』


式場から離れて廉君の足がゆっくりとした歩みになると
私は少し汗ばんだ掌をぎゅっと握り締めた



「廉…って呼ばれたら、嬉しいの?」

そんな気安く呼ぶのはまだ少し恥ずかしいのもあるし
なんか、拒絶されないかと言う恐怖がまだあるせいかもしれない


不安そうな顔で問いかけると
廉君はこちらを振り向いて誰もが頬を染めるような笑みを浮かべた


『当たり前、舞い上がりそうなほど嬉しい
春華に呼ばれるからいいんだよ』

「じゃあ、廉ってたくさん呼ぶ
これからも…ずっと」



恋には終わりがあるなんて
そんな事は大人に言われなくたって十分子供も理解している

でも、理屈じゃないんだよ
かっこつけてるわけでも無いんだよ

ちゃんと前を見てるから

私もあなたと向き合うから



「廉、愛してるよ」

『・・・っ!』




君に出会って
世界には言葉で表せない感情があることを知った

眩しい言葉では表せない色があることを知った


数多くの人々の中から
私を選んでくれた奇跡に感謝しないといけない


与えられるものに甘んじていたらいけない



照れたら口元に手を当てる彼の癖がまた行われている

少し本音を出す事で、彼も私も幸せを手に入れることが出来る


『…やばい、泣きそう』

ちょー嬉しい
と、小声で上を向いて私に今の顔を見せないようにしている彼はずるい



『これからもよろしく、未来の花嫁さん
愛してるよ』


また、彼は息をするように糖を吐く

それが私にはまだ慣れない
きっと、一生慣れないのだろう


そんな事を考えながら
降ってくる唇を少し睨みながら受け止めた