「な、泣いていいですか…?」

『もう声震えてるくせに』



単純なんです

君から幸せをもらえるから

私だって幸せになる



「廉君だって震えてます」

『はっ、春華の勘違いだし』


鼻で笑うも、本当に震えているのだから格好が付かない


お互い手探りの恋

何もかもが初めてで、分からなくて


…それでも相手を大切にしたくて
自分が不安になって



「私はとっくに、廉君を全て受け入れる覚悟を持ってますから
いつ大人になっても大丈夫です!」


だからせめて
つたないプロポーズには誠意を持って答えよう



『…それさ、あらぬ誤解を生む言葉だって分かってる?』

「え、っと…具体的にどの辺が…?」



『…もういいや』


廉は春華の髪の毛をぐしゃぐしゃと撫で回すと
一人立ち上がり、ソファーの方へと歩いていった


「っちょ…廉君!どういう意味ですか?」

『さあね』


遅れて立ち上がった春華は子犬のように廉を追いかけた


「もー、廉君やっぱ意地悪」

『言ってろ』




穏やかな春風が二人の間を通り抜ける

窓から眺める空は

いつもより優しいような気がした