『もう…ほんと心臓に悪い…』
「お、同じく…」
意味は違うが、感情が同じ二人は
そろって荒い呼吸を整えていた
『あのさ
これ以上俺を翻弄しないで』
「そ、れは
こっちの台詞です…」
震える声
春華の返答を聞いて目元を片手で覆う廉は
何かを抑えるように深呼吸をした
『あー、嫌だなぁ…』
その言葉に
まるで自分の事が嫌だと言われているような気がして
軽く身構えた
『俺自身が嫌過ぎる』
廉はまだ目元を覆っていて
顔を上げる気配は無い
続きの言葉がありそうなので
春華はそのまま黙っていた
『ようやく分かったよ
春華は俺が最近避けてたからメイクとかして俺の気を引こうとしてたんだって』
ズキッと、胸に針が突き刺さったように傷む
やっぱり廉君は避けてたんだ
『ごめん、軽い欲求不満と嫉妬と羞恥心』
本当はこんな簡潔な言葉で表せるようなものじゃないけど
と、力の無い笑顔で廉は言った
「それは、私に対して?」
問いかけると
こくりと頷いた
『俺、汚いの
春華を大切にしたいって思えば思うほど
違う感情も出てきて
それで春華を傷つけたくないから最近触らなかったけど
綺麗な春華に緊張して…』
廉は、一言一言かみ締めるように
ゆっくりと紡いでいく



