「あ、あの…」
きょとんと何もわからなそうな顔でその男子を見る春華に悪意は無い
『(どうしよう、これって小説とかでよくある恋の始まりってやつだよな!?
やべぇ…この子むちゃくちゃ可愛い!!)』
と、勝手にあちらが運命を感じていても分からないから動じない
『あのさ!…君何年生?』
「はぁ…えっと、2年せ…」
言葉はそこで途切れた
春華の視界が急に暗くなったからだ
『見んじゃねーよ!』
真っ暗な視界でも聞こえる声で判断できる
ただ、その声は
聞いたような事が無いほど激怒していた
廉はその男子生徒としばしにらみ合って
春華の目元を腕の部分で隠しながら一言も喋らずに連れ去った
『あ!ちょっと……あれ?白昼夢?』
後に残ったのは
一方的に運命を感じて壊された哀れな通りすがりの少年Aだけだった
_________...
「れ、廉君…?」
春華の白く、柔らかい腕を痛いぐらいに掴んで早歩きをする廉は
どこへ向かっているのかまったく持って見当が付かない
歩幅の関係で小走りで付いていくしかない春華は
訳が分からないこの状況にただただ翻弄されるだけだった
ようやく、廉が立ち止まったのは
この時間誰もいない、いつぞやの社会化準備室だった
バタン
乱暴にドアを閉めると
廉は春華の腕を掴んだままずるずるとドアを背にして座り込んだ



