甘い菓子パンが口に入れたとたんしょっぱく感じる
口の中の水分をなくしてくもんだから
酷く胸につっかえる
ゆっくりとゆっくりと咀嚼しながら
嗚咽ごと飲み込む
きっかけは
ほんのささいな出来事
意地を張った私が悪い
それでもしょうがないじゃないか
私だって女の子だ
からかう言葉より甘い言葉が欲しい
もしくは
甘い言葉なんてなくていいから
優しい日常がまた欲しい
ピンポーンとインターホンが鳴って
少しだけ「廉君かも…」と期待した自分が嫌で
とりあえず着替えて謝りに行こうと思った
玄関にきたお客さんの前を通ってじゃないと自分の部屋にいけないのが恥ずかしかったけれど
今はそんな事を言っている場合じゃないと思い
顔を伏せて通り過ぎようとした
『春華』
愛しい優しい
私を呼ぶ声
顔を上げたら
少しだけ苦しそうな笑顔の廉君がいた



