『じゃーねー春華
3学期になっても律儀にワンコやってんだね』


急いで帰るはずなのに
話を振ってくる優香

どうやら傘を忘れたから雪がやんでる今のうちに帰ろうとしているらしい



「ワンコ?」


『ご主人が来るまで待ってて帰ってきたら尻尾振って飛びつくって事
春華って豆柴って感じだよね』


「なっ…私は犬じゃないもんっ!」


犬は好きだけど…犬になりたいとは思ってない!


『ははっ!…ばーいばーい!』


優香ちゃんははぐらすように帰っちゃうし

失礼だよ!



ぷりぷりと怒りながらも

もう春華の頭の中身はもうすぐ読み終わる本のことでいっぱいだった






_________...



「廉君戻ってくる前に読み終わっちゃった」


時刻は残り15分くらいと、とても中途半端な時間

3学期になって新しく席替えをして
景色が変わった椅子に深く腰掛けてカッタカッタと前後に揺らす



帰宅部の人はもう帰ったし
部活の人はまだ部活中


ぽつんと広い教室に一人なんて事は何度もあったけど
つまらないことに変わりは無い