ビーッ
「キャーッ!勝ったよ!
廉君たち3勝1敗だよ!すごいねぇ!」
『凄いけど…対戦したチームが素直に本気出してくれたとは限らないしねぇ
さてと、斉藤廉のところ行くか』
途中から疲れたらしく座っていた優香ちゃんが
よっこらしょと腰を上げて
手についたほこりか何かをはらう仕草をした
「…え?何で?」
だって、もう見る試合はないですし…
後は帰るだけなんじゃぁ…?
…そう思っているのが春華の顔に出ていたのか
優香はじとーっとした目で睨んでくる
『…あんた本当に斉藤廉の彼女だっけ』
「じ、自分ではそう思っていますけど…?」
なぜ?
なんで優香ちゃんはこんなにご機嫌斜めなの!?
『「廉君お疲れ様!」って労いの言葉をかけるのが王道のカップルコミュニケーションだと私は今まで思っていましたが!?
これを覆された私ってどうよ!?
やっぱり少女マンガパターンは実在しないと思って目の前の楽しそうなことを見逃せってか!?』
「は?はい!?」
えっ、ええっ!?
優香ちゃんは何を言ってるの?
いまいち繋がりが分からない…
というか、早口で何を言っているのかが分からない…
そんな私に痺れを切らしたのか
『ああーっ、もぅっ!』
と興奮気味に喚くと
私の腕を引っ張って、人波を潜り抜けていった