《私…廉君が触れるの好きだよ
廉君が触れるのは私だけだって、自惚れでもその時だけはそう思えるから…
でも……廉君の馬鹿っ!》
さっきの春華の言葉が繰り返される
俺に想われているのが自惚れだなんて
まだそんな事を思っているのだろうか…
俺が触れるのは
否…触れたいと思うのは
その衝動が抑えきれずに、頭で考える前に行動してしまうのは
絶対に
一人しかいないというのに
『ふ~…んぅ~』
意味が分からない幼児のような言葉を発しながら
ごろんと寝返りを打つ春華
クスッ
笑顔って
こんな簡単なものだと知ったのも
今、幸せそうに眠るお嬢様のおかげかもしれない
俺は春華の髪を一房掬い
誰に言うでもなく語りかける
「…まだ手は出さねぇ
だから、先に進みたいと思ったら
春華から求めろ」
もしかしたら
そんな感情すらこいつには無いかもしれない
…それでも
俺はこいつの心の準備ができるまで
気長に待っていこうと思う
俺自身が
手出しすらできない臆病者だからという理由もあるが
…そんなもの理由に入らない
男なんて理性が無くなったらそんな事は関係ない物
だから俺のストッパーは
自らの理性じゃなくて
ストッパーを壊す役割も時に兼ねる
…春華なのかもしれない
あまりにも矛盾した考えだが
そうとしか言えない



