天然彼女の愛し方(完全版)




春華はそんな廉を不審に思っていたようだが
時間が経つにつれどうでも良くなったのか、深く追求することはなかった



ザザァと音を立てて雨が降る



鮮明に聞こえる雨の音が
無音な二人を包み込む




クシュン




控えめなくしゃみの音は



…おかしな方向から聞こえた




「『…?』」



二人で顔を見合わせて

それから音のした方向へ振り向く




廉と春華は自転車小屋の端にいた
その横に長い自転車小屋の反対の端に、小学生くらいの男の子と女の子が二人で雨宿りしているのが見えた


…長い時間そこにいたのだろうけど
端と端だったためか、廉と春華はその子供がいることに今気付いた


まあ、二人で甘い雰囲気を出していたため気付かなかったという説もあるが…



先に動いたのは
春華だった



その子たちのところに走りよると
さっきくしゃみをしたらしい女の子の濡れた体をタオルで拭きだした



『風邪引くから早く帰った方がいいよ…って、ああっ!
これ廉君のタオルだった…』


「別にいいよ」


俺は春華の傍まで近づくと
春華のタオルを投げて返した


春華は廉が返したタオルで
今度は男の子の体を拭こうとしたが、それは男の子が嫌がってタオルを掴みとって自分で拭きだした