『私、ちょっとした事でも
廉君がどんな人と過ごして、どこで出会って…
過去の廉君を知ることで、今の廉君も知れるような気がするんです』
だから、今とっても楽しいんです
と、春華は続けた
彼女は時に
素直すぎる
その言葉のひとつひとつが俺にとって
どれほど大切で
どれほど嬉しくて
…どれほど愛おしいことを
『ひゃっ……廉君?』
彼女は、知らないだろう
…すぐにでも消えてしまいそうなほど小さな体を抱きしめる
それは俺が安心する一つの方法
どこにも行かないように
捕まえておけるように
彼女がそこにいることが、証明できるように
「…お前ってやっぱり、いいな」
『?…何がですか?』
分からなくていい
知らなくていいんだ
君は、俺の傍でそのままでいればいい
ポタ
ポタ
「…?」
上から落ちてきた水滴に驚いて空を見上げたら
強い雨のにおいがした



