キャッチ。

「浅野小雪です。」

女の子はニコッと笑いながら答えた。見た目の割にはしっかりしてる感じがする。


「どこに住んでるの?」

冬馬は質問を続ける。


「F県のM町です。」


「…マジ?」

「県外じゃん…。」


…驚いた。迷子ってレベルの話じゃないぞ。


「迷子…じゃないよな?」

冬馬も同じ事を思ったらしい。


「はい。元々ここに来るつもりでした。」


マジ…?

たかだか13、4歳の子が1人で来れるもんなのか?

けど、何回も来てるならそれも分かる。

…聞いてみよう。


「何回もここに来たことあんの?」


「いいえ、初めてです。」

俺の予想は見事外れた。


「…この町に知り合いはいるのか?」

冬馬が聞いた。

「…いないです。」


意味が分からない。何のあてもないのにここに来る意味が。

ここは観光の名所なんてもんじゃない。あるのは住宅街だけだ。


「…ここに来た目的は?」

冬馬、いい質問だ。



「それは…秘密です。」



はぁ…


『乙女の秘密』ってやつですか…。



遠藤の奴…




厄介なもん拾ってきやがって…。