あたしと小雪ちゃんも冬馬くんに近付く。
そして奏太くんがしたみたいに手を伸ばして顔に触れた。
冷たい。
その感覚があたしに嫌でも現実を突き付ける。
冬馬くんは死んだ。
文句を聞いてくれる冬馬くんはもういない。
クールに振る舞ってる冬馬くんはもういない。
にっこり笑ってくれる冬馬くんはもういない。
「…冬馬くん。」
名前を呼ぶ。
返事は無い。
「起きてよ冬馬くん…。ねぇ…冬馬くん……。」
体を揺すっても声を掛けても冬馬くんは目を瞑ったまま。
「美咲ちゃんが呼んでるよ…返事しなよ冬馬…。ねぇ……返事しなよ……。」
涙声で語りかける奏太くん。
「…ちくしょう……冬馬ぁ。」
奏太くんは顔を伏せて涙を流し続けた。



