「悪いのは俺だ…。」
大ちゃんはそう呟いて、ふらふらと歩き出した。
「…大輔?」
奏太くんの呼び掛けにも反応しない。
あたし達に背を向けた大ちゃんはカメラのフラッシュを浴びている。
それでも立ち止まる事無くマスコミを掻き分けて前に進んでいく。
何故だろう…
急に大ちゃんが消えてしまうような気がした。
「大ちゃん!!」
あたしは急いで後を追いかけた。
けど、
「来んな。」
今まで聞いた事が無いぐらい冷たくて、低くて、辛そうな大ちゃんの声。
その言葉に足を止めた。
「…大ちゃん。」
もう1度名前を呼んだけど振り向いてくれなかった。
「…美咲ちゃん、今はそっとしといてあげよう。」
奏太くんにそう言われたけど、嫌だった。
今引き止めなきゃ絶対後悔するってあたしの中のあたしは叫んでた。
でも、
結局あたしがとった行動は
大ちゃんの背中を見送る事だけだった。



