「いま、1時。」 震える声で私は答えた。 『へぇ、そっかー』 彼はニカッと笑うと 今度はベンチに寝転がった。 そしてまっすぐな瞳で 夜空を見上げた。 『おねーさん、空きれいっすよ。』 そう言い、彼は 夜空を指差した。 その指先を眺め 私も上を向く。 きらきらと輝く 無数の星。 黄色く光る、三日月。 「わ、きれい。」 さっきまでの怖さは いつの間にか消えていた。