泣き恋




ドクン、ドクン、ドクン…



心臓が一気に跳ね上がる。



「給料貯めて、
初めて車を買ったんだ。

中古だったけど、彼女は喜んで助手席に乗ってくれた。

『約束通り、私が一番だよね?』

って笑いながら。

海まで軽くドライブする予定だったのに、
オレ、なんか調子乗っちゃってさ。

『温泉まで行こうぜ』

って、走ったこともない
山奥に入ってったんだよ」



ポツリ、ポツリ、と話しながら


ショウは、
私の手をギュッと握ってた。



口に出して伝えるのが辛すぎる話。



私は、ショウの心を知りたくて



ただ黙って聞いてた。