泣き恋

当てもなくフラフラしながら
足を前に出す。


どこをどうやって歩いてきたのか

気づくとそこは、
マンションが立ち並ぶ住宅街だった。



一番高いマンションの下で、屋上を見上げる。



ここでもう、終わりにしたい。


達也のとこに行きたいよ。


やっぱり、1人で生きるなんてムリだった。


どんなに罪悪感を持ったって、

カラダを傷つけたって、

達也は戻ってこない。


もう触れることはできない。



それを奪ったのは、私なんだ。


だから「死ぬ」なんてラクな選択肢は

選んじゃいけない。


そう言い聞かせても、
やっぱりもうムリだよ。



達也がいなきゃ、生きてる意味ない。





達也の声が耳の奥でよみがえる。




「お前、すぐ泣くからな〜」


「ホント、背ちっちぇ〜なぁ」


「イジメられてんの!? 
どいつだよ?
せってぇ、許さねぇし!」


「そのマフラー、似合ってんじゃん」


「オレには、紗奈しかいないから」






たつやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ



ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ






深夜のマンションの入り口で
大声で泣き叫んだ。





達也、会いたい。

会いに来て…

会いたいよぉ。