泣き恋


「お〜、友梨じゃん!元気?」


「相変わらずキレ〜ですねぇ」


「あー、友梨さん! 
おひさしぶりです!」


クラブに入ると、
友梨さんにみんなが
あいさつをしてた。

そのたびに、


「このコたち、
私のかわいい後輩だからよろしくね」


って、紹介してくれた。


「マジっすか? 
2人とも超可愛いし。名前は?」

「真希です♪」

「……」

「あ、こっちは紗奈」

「真希ちゃんと、紗奈ちゃんか。
よろしくね!」


次々と目の前に現れる
初対面の男の人に
クラクラしながら、

なんとか笑顔で対応する。

クラブなんて来たことないし、

こんなにたくさんの男の人と
一度に知り合った経験もない。



でも、

「恥ずかしい」

とか

「どうしよう」

なんて気持ちは
まったくわかなかった。





“すべてが
自分の外側で起きてること”。





そんな気がしてた。




内側の自分は、
不気味なほど冷たくて静かで



ちょっとでも気を抜くと

その闇に
引きずり込まれそうになる。