泣き恋


部屋の隅っこで
ボーっとしてる私の髪を

当然のようにせっせと巻きだし、

私のメイクを始めてる。



「紗奈、色白いよね〜。
このファンデじゃ濃いかな」

「あ、もうちょっと濃い
ブラウン系のシャドーがいいかも」



なんて、一人ではしゃぐ真希。




これも全部、私への優しさ。



そんな真希の気持ちと、

自分の顔に当たるスポンジやブラシの違和感で、



「私、生きてるんだな…」


なんて実感して、
鋭い痛みが心臓に走る。