学校に着くと早速、遊に朝のことを話した。
「へーっ。それって,もしや運命?『初恋の彼女との再会』みたいな……」
遊は微妙ににやけて言った。
「は!?意味分かんねーし」
「またまたぁ。そんなこと言っちゃって」
遊のにやけ顔が近づいてくる。
「う……そりゃ、まぁ…ちょっとは嬉しかったけどさ」
「ほらな。これで、桐生も宏樹のこと意識してくれんじゃね?」
「や、それはないだろ。何年前のことだと思ってんだよ」
とか言いながら,本当はそうなってくれることを願ってた。
オレだって、もう中3なんだから、いい加減片想いだけじゃいやな年だし。
彼女だって欲しいお年頃ですよ。
「てかさ。桐生、お前と同じ高校だってさ」
「は!?うそ!?」
「うそじゃねーし。嘘なんかついてどーすんだよ」
「まぁ、そうだけど……」
普通の顔してたけど,内心,にやけたくてしょうがなかった。
オレにもチャンスがあるかもしれないってことだし。
「だから!!卒業する前には告れよ?」
いきなりの遊の言葉にオレは吹き出してしまった。
「何、そんなビビってるわけ?」
「な、だってそんなの考えたこともねぇし……」
「今から考えろ!!絶対しろよ?」
「は、はい……」
遊の迫力に、オレはすっかり怖じ気づいてしまった。
