俺は入学式に出席した。
でも、普通に出るだけじゃ面白くなかったから、外見を変えてみた。

…エイズだと知っている教師たちに¨俺は強い¨と見せ付けたかったからかもしれない。

¨自分はエイズじゃない¨と思いたかったのかもしれない。

だから、黒髪を校則にひっかからない感じに茶色くした。

制服も着崩した。
おもいっきり、ヤンキーになってみた。

「¨早瀬¨と¨増田¨?!」

俺は左京と目を合わせた。


ー…誰だ?

この学校で俺たちのこと知ってる人なんか、そうそういない。

目の前には、小柄な黒髪の男の子がいた。

「…何?俺らと知り合い~?でもごめん!俺、君のことまったくしらんわ~」

はきなれない革靴をわざわざ音をたてて、男の子に近づく左京。
…おいおい


左京はもともとでかいくせに、春休みの間にもけっこう背が伸びて、俺を越していた。


小柄な男の子にとっちゃ、怪物のようなもんだろう。
 そりゃ怖いよな~…俺もちょっと最初びびったし。

関西弁だし…
「左京、やめろよ」

「何が?俺、なんかしてたん?なんもしてへんで」

「いいから。…君、名前は?」

左京を後ろに下がらせながら、ゆっくりと歩み寄る俺。

咲こうのせいでこわばっていた顔は、ホゥと安心したように緩んだ。

「…末永琉雨。ここの寮、3人部屋なんだけど、俺お前らと同室なんだ」

ブスッとした顔でいう末永クン

「そうな~ん?それはよろしゅーな!琉雨ちゃん」

左京はブンブンと握手している手を振り回した。

「琉…琉雨ちゃん?!なんでそうなんの?」

「琉雨って女みたいやな?!ええわ~かわえ~わ~」