「いずっ…」
「涙ちゃん、かえって話そう?ね?」
和泉…和泉だ。
笑ってる和泉だー…
私は貴由を無視して和泉に近づいた。
「えっ、早瀬、やっぱり桜ヶ丘受けんの?」
「ちなみに俺もやで」
「桜ヶ丘って、あの桜ヶ丘大学付属高等学院?」
「そ。西川より自由な校風でさ」
「でもランク高いじゃん。県立と並ぶんだろ?」
「まね。でも、そのほうが勉強のやりがいもあるし、サッカーも有名だし…」
…やっぱりそうなんだ。
どうしよう。
きっと和泉は私と離れたくて、受験するんだ。
全寮制でランクの高いところ。
「和泉、受験…するの?」
演技は得意ー…
私は驚いたように和泉のまえに出て行った。