和泉の手から離れたそれは、宙を舞ってどんどん遠くに飛んでいく。

太陽の下にさしかかったとき、それは落ち始めた。

私は入り口に向かって震える足を必死に動かす。


ーカシャン

落ちた指輪はどんどん転がっていく。

入り口のすぐ前には排水溝。

「やだ…やっ…」


それはひたすら転がり続ける

間に合うかとかなんて、関係なかった。

ただ必死で手を伸ばした。

あと1cm…

少し希望が見えた…

その直後だった。

「…んっ!」

ー…ポチャン








あとほんの少しだった。
あと一歩、いや滑り込んでたら、とれたからもしれない。


「っ…ふ…」