俺は軽く先生を睨みつけて、その場を去った。

心はまだまだ怒りが残っていた。悲しみも苦しみもー…

「くそっ…」

逃げられないのか?俺は、こんな人生を送らなければいけないのか?

俺はもう、絶望の縁にいた。

「…今のところ…」

階段の上から聞こえる校長と教頭の声。

俺は、こんな傷ついたような顔を見せたくなくて、階段下に隠れた。


「…しかし、3-Bの森下、県立受験大丈夫でしょうか」
「頭は良い子だけど、県立は難しいと思うよ」


…受験?



ー…そうか。

受験なら高校から違う学校に行ける。

それに、ここは受験に対して力を入れてる。

…受けたい。

俺は階段下から飛び出し、二人の前に立ちはだかった。


「先生、僕受験したいです。今からでも大丈夫でしょうか」


…絶対受験してやる。
大丈夫、頭は悪くない方だし、むしろ逆だ。


涙花とも離れたいと思っていた。

ー…ちょうどいいんだ。

良い機会なんだ。
きっとこれは、あまりに哀れな俺に神様が与えてくれたもの。



ー…もう一度やり直すために。