生きる。

ためらいもなく、でた言葉はあまりにも残酷で、俺は自分の耳を疑う。

「…は?」

お前なに言ってんの?
そう言ってやりたかった。でも、それをさえぎったハルキの言葉は、今まで聞いた中で一番



…悲しいもの。


「お前、エイズなんだろ?」








…なぜバレてるんだ。


静かな中で思った。

ドクドクと鼓動が速くなり、汗が出る。

俺がエイズだと知ってるのは、一部だ。
 もちろん、ハルキが知るわけないし、クラスの誰かがばらしたともまるで考えられない。
確かに涙花は知っている。
けれど、涙花は言っていいことと悪いこともちゃんと分かってる。

まず、涙花じゃないって事は明らかだ。


「ちょ…やめて!ハルキくん」

「エイズって移るんだろ?…やめてくれよ。俺ら…そんなの移りたくねーよ。
和泉には悪いと思う。
でもわざわざ死に蝕まれるって分かってることを、¨はい、そうですか¨って言って感染するやつ、いないだろ?!」

…エイズ感染者にとって悲しい言葉、一番傷つく言葉だった。