いつもバシバシとたたいてきた手
遊ぼうと呼びかける言葉
すべてがなくなっていた。すべてが行動に現れていた。
「ごめん。そんなつもり…」
「もういい」
伸びてくる涙花の手を乱暴に振り払った。
追いかけてくる二人を気にもとめず、俺は教室へと入る。
「っはよー」
シンと静まり返る教室。みんな、しゃべっていたはずの口は止まっていた。
「…なに?」
「いや、おはよう…早瀬」
数秒の間をさまよっていた当たり前の言葉は、どこかおびえていた。
「なあ、サッカーしね?」
「え…あ…いや、遠慮しとくよ」
誰になんと言ってもそんな感じ。
はっきりとは言葉で否定しないけど、全身で断っている。
ー…誰も寄りつかない。
涙花と左京がきても、チャイムがなるまで、それは変わることはなかった。