「先生、先生は僕の主治医ですか?」

「いずれ…そうなるよ。俺は佐々木 圭吾 ササキ ケイゴ」

「先生、よろしく」

「生意気だな」

そういって佐々木医師はフッと笑った。

「ああ、ついでに言っとくよ。羽生涙花は私の姪だ。君たち、仲いいんだろ?」

「ってことは涙花のおじさん?」
「そうなるな」

「じゃ、涙花のおじさん……俺はあと何年生きれる?」

佐々木医師は驚いたように顔をひくつかせる。
それから、俺の顔を見て、まるで何かを悟ったようにゆっくりと冷静にカルテを見だした。


「…和泉君は」

「和泉でいいよ、涙花のおっさんなんだし」

「おっさんではなくお兄さんといえ。俺はまだピチピチの28だ。それと可愛い涙ちゃんを呼び捨てにすな!

…和泉はエイズ¨感染者¨なんだ。

エイズ¨発症¨はしてない。エイズは何年生きられるか分からない。もしかしたら、一生発症しないかもしれない。………難しいか?」

「いや?…簡単に言うと…¨明日発症してもおかしくない。発症したら死にいたる¨」

「…いや、明日はまだない。和泉君は身体的に強いし、免疫力も人より多い。

だから、すぐに発症ー…というのは、ない…かな?
エイズは難しい病気だ。だから…」

「いや、いいよ。発症しなけりゃいいんだろ?」

「そういうことだ」


でも、まだ具体的にはわからないんだ。

ーエイズの知識を持たないとなー…