「初級火炎魔法20本、用意…はじめっ!」

朝焼けの空に、黒魔術部部員の放った真紅の光の帯が、幾筋も伸びていきます。

ここは天空宮学園戦闘系クラブ練習場。

私は白虎君に誘われて、部活の朝練の見学に来ていました。

白虎君が所属しているのは徒手空拳部ですが、他にも朝練をしている部は幾つもあって、まだ始業前の早い時間帯だというのに、学園の練習場は活気づいています。

「天空宮~…ファイッ、オー!」

どこの部でしょうか。

威勢のいい掛け声が耳に届きました。

その声に心地良さを感じていると。

「お、リリム、来たか」

覚えのある声が私の名を呼びます。

振り向くとそこには、中国風の道着を身につけた白虎君が立っていました。