あれから一年が過ぎました。

…ここは天空宮という不思議な街。

当たり前のように車がメインストリートを行き交い、雲を突き抜け宇宙まで届く軌道エレベーターが市街中心部に聳え立つ一方で、港の沖合いには『リヴァイアサン』と呼ばれる海竜が、山岳部には『天空険道』という魔物がひしめく8000メートル級の岩山が存在するという、ファンタジーとSFがごった煮になったような都市です。

歩道を歩く人々も、今時の流行のファッションに身を包んだ人間の青年もいれば、中世の騎士のような甲冑を装備した虎の獣人、耳の尖った金髪のエルフ美女、肩や肘の接合部に継ぎ目のある自動人形(オート・マタ)『メイドール』など様々。

初めてここを訪れる人達にとっては、この街は本当に空想世界の産物のようでしょう。