容姿こそ、人間と大差はありません。

だけどこの翼があるばかりに、私は仲間に入れてもらえず、随分寂しい思いをしたものです。

行くアテもなくて、留まる場所もなくて、巡り巡って辿り着いた、街を見渡せる高い崖。

孤立してしまった不安を何とか抑えたくて、一人歌なんて歌ってました。

寂しさを紛らわせたくて、小さな声で口ずさんでみる。

「Obwohl obwohl ein Flügel, den ich den Himmel leite, und zu treten, ein Flügel zu Freiheit steigt auf in diesen Hochhimmel, weder der Schwarze noch das Weiß hat Verbindungen(空翔ける翼、自由への翼 あの高い空へ舞い上がるのに 黒も白も関係なんてないのに)」

それは、私のかつていた世界に伝わる異世界語。

独学で覚えた、見様見真似のその言葉を使って奏でる、魔力を帯びた歌でした。