「ありがとうございます」



見たところ角島さんに怪我はないみたいだ。





「あの、あれ…」


角島さんはそう言ってチラッとラックのほうを見た。




今、ラック鬼の形相で日本刀を振りかざし次々と男達を斬っていて血が舞っている。



刀さばきは見事、といった具合かしら。





けど、角島の顔色はあまり優れない。





そりゃあそうよね。

あんな血まみれな状況見て普通の人間には冷静にいれるわけがない。





「あちらに行きましょうか。あの光景はよくありませんから」


私は少し微笑んで角島さんの手を引いた。





男達は相変わらず、ラックに気を取られている。


警戒していたけど相当のバカね。





「なんで怜音さんが…」



「あいつらには殺しの依頼が入っていたので、今のあいつは殺し屋のラックです。
私もあなたを安全な場所へ案内したら戻ります」