いつもは温厚でヘラヘラしているから怒っている姿を見るのは初めて。
「てめー…何者かは知らねーが無事でここから出れるなんて思うなよ!やっちまえっ!!」
男が叫んでチンピラ共がナイフを取り出してラックに向かって行った。
--ここね。
そう思って私はラックとは反対側に出た。
私は静かに角島さんに近づいた。
男達はラックのほうばかり見ていて、こっちには気がついていない。
「角島さん…大丈夫ですか?」
「か、加奈さん!」
「しぃー。静かに」
角島さんは黙って頷いた。
手に巻かれていた縄は短剣ですぐにとれた。