「はい」



―『ヒースか。今何してる?』


冷さんからだ。



「すみません。角島さんを誘拐されました。
今はラックと発信機が示している場所に向かっています」



―『そうか…。角島夫妻のとこに誘拐したという電話が入った。身の代金を要求されたらしい。
相手は有名暴力団だ。まず角島尚の保護を優先しろ。

それで奴らなんだが裏でいろいろやっているみたいでな、殺しの依頼が入っていたんだ。余裕があるなら…殺れ』


冷さんの声が冷たく響く。





「わかりました」



“ピッ”



冷さんには申し訳ないことしたかな。




するとバイクが止まった。




「ついたぞ」

ラックはバイクのエンジンを切った。



そこは古い倉庫みたいな場所。