ほんと、冷さんには適わない。


何も言わなくても、すぐに思ってることを言い当てる。



「冷さん…ヒースの過去だけど…」



「ヒースの過去?それは前に話しただろ」



冷さんはキュッキュッとグラスを磨いている。



俺はカウンターにもたれた。



「そんな前じゃなくて殺し屋に…月乃がヒースになったときの話なんだけどさ」




“キュッ……”


冷さんの手が止まった。



「なるほど。ライにでも出会ったときのことでも言われたのか?」




俺はコクリと頷いた。


「冷さん…ヒースってモテてた?」



どうしても気になってしまう、恋愛関係の過去。


月乃は大人っぽいしスタイルいいし、男は絶対に目を追うタイプだと思う。