「なぁ、ラック」



ライはタバコの火を消した。


そして手すりから体を離して俺のほうをまっすぐ見る。


そこにはいつもの子供っぽい面影はない。



「言っとくが…
今までにヒースに言いよる男はごまんといた。だが、お前はそいつらとは違っているのはわかってる。



だけどな……俺は簡単に譲るつもりはない。



ラックが好きなように、俺も半端な気持ちで近づいていないんだ。それを忘れるな」



ライはそう言いきって屋上から出て行った。




“バタンッ”と扉が閉まる。








「クソ…」


俺の拳に力が入る。









何も言えなかった。



本当は前から…最初から心の底ではわかっていた。