「…なにが?」


振り返るとラックは爽やかに笑っていた。


ここが危険な場所なのに…





「お前の腕は噂以上だった。間近でみれてよかったよ」




・・・ほんと、こいつの神経がわからない。


どうしてあんな現場を見て、そういうことを言えるのかしら。





「私はあなたの腕が見れなくて残念だったわ」




この世界の噂ごとに敏感でない私が知っているほどの人物。


技術は人並み外れていると聞いたことがあったから本当にそうか見てみたかった。


この笑みの裏側を。





「じゃあ今度、組んだときに見せてやるよ!」



「それなら結構」



私は1人でやっているほうが楽だからいい。




「それは残念」


「じゃあ私はここで」


ラックに背を向け、私はまた歩き出した。











「……ヒース!」


後ろからラックが叫んだ。




「また会うことがあるならまたよろしくな!」



「……えぇ」

そう返事をして家に帰った。







この約束は果たされることはないだろう。


もうこれでラックとは二度と会わないから。






そう思っていたのに・・・



まさか、後日…あんな場所で再会するなんて--





この時の私は想像もしていなかった。