「気をつけろよ」
冷さんが言ったのはその一言だけだったけど私には十分に言葉の意味が分かった。
「…覚悟はしている」
そう言って私は店を後にした。
--…いつもみたいに『大丈夫』や『問題ない』とは言えなかった。
今回のことは予測不可能だから。
「なぁ、ヒース!」
現場に向かって歩いているとラックが隣にきた。
「さっきの…どういう意味だよ?」
ラックは少し真剣な顔をしている。
「どういう意味って、何が?」
「さっきの冷さんの顔つき…いつもと違ってた。
お前の様子もおかしいし…何があったんだよ?」
・・・ほんと、こういうことは鋭いんだから
「別に…ラックには関係ないわ」
私がそう言うとグイッと後ろから肩を引っ張られた。


