「で、断ったのか?」
「もちろん」
「…まだ諦めてなかったんだな。鎖紺の奴」
冷さんは私の過去も関わりも知っている。
「…そうみたいね」
数年前にも仕事を依頼されたことがあった。
だけど鎖紺が幹部を務める組織はヤバいということを知って断った。
あの時はすんなり受け入れてたのに…
あいつらと会ってから嫌な予感が止まらない。
きっと、ただでは済まないだろう。
“カランッ”
「わりーわりー!遅刻した」
ドアが勢いよく開いた瞬間に元気よくラックが入ってきた。
「やっと来た」
私はイスから立ち上がった。
今日も殺しの依頼が入っている。
「ヒース!」
店から出ようとしたら冷さんに呼び止められた。


