「そうなの?」
「あぁ。俺は普通だった。
優等生でも不良になることもなかった」
懐かしい記憶が蘇る。
「ただ…毎日がつまらなくて適当に過ごしていた。
大学に行ったのも教師になったのも周りが進めたからなんだ。
その時は、そんな毎日がずっと続くと思っていた。
冷さんに会うまでは…」
俺が人にこれを話すのは初めてだった。
人をあまり信用しない俺だけど…月乃は何故か信用できると思った。
「冷さんには偶然出会ったんだ。そして殺し屋の仕事を目の当たりにした。
だけど初めて見たとき不思議と怖いとは思わなかった。
逆に思ったんだ。
ここなら、裏の世界なら俺の“足りないもの”が見つかるんじゃないかって」


