俺は月乃に手伝ってもらいながら体を起こした。
「口に合うかわかんないけど…」
そう言いながら月乃が差し出したのは温かい蕎麦。
ケガ人のくせに腹は空いていたのか、グゥ~っと鳴った。
「サンキュー」
月乃の蕎麦は普通のだったかもしれないけど本当に美味しかった。
「そういや、月乃の両親は?
俺、ここにいて大丈夫か?」
何時間いるかわかんねーけど、さすがにヤバいだろ。
俺がそう言うと側に座っていた月乃の体が少し固まった。
「・・・・心配ないわ。ここには私しか住んでいないから」
フッと月乃は笑った。
「えっ…?」
箸がピタッと止まる。
「1人暮らしなのか…?」
「えぇ。両親は私が中学の頃から海外にいるわ」


