【中編】ひとつの愛




あいつは、わかってない。



鈍臭くて、
トロくて、
マヌケで、
鈍くて。



だから俺は
あいつが嫌いだ。



俺より何十センチも
チビのくせに、

たった1つ上なだけで
年上面して。



それが、すげームカつく。



でも、



あいつに優しく出来なくて
笑いかけれなくて
素直になれなくて



そんな俺はもっと嫌いだ。



図書委員だって
流湖さんから聞いて、
わざわざ立候補した。

高校だって、
同じところを選んだ。



これだけ、そばに居るのに
少しも気付かねぇし。


俺が嫌ってる
って勘違いまでしてるし。


揚句の果てに、
あいつは俺の事が嫌い。



最悪だ。



ただ『好きだ』って告って終わるのだけは嫌だ。

俺の想いは、そんな簡単なもんじゃねーし。



あいつが少しでも俺の事で悩めばいいのに。