どうせ、澄子のやつは追いかけてくるんだ。
こうやって俺が背中を向ければ、焦っておいかけてくるんだ。
・・・でもそれは今の内なだけな気がすんだよな。
いつかお前は俺に背を向けて、違う男の元に行くような気がすんだよ。
・・・いつからこんなヘタレな男になったんだ?
・・・いつから・・・じゃなくて最初からだな。
あいつに惚れてからいつもだ。あいつは俺と違って恋愛に必死で、社交的で、真っ直ぐで・・・
俺みたいなやつを夢中にできるような女だから、もっといい男だってすぐ捕まえられるはずなんだ。
ただ・・・俺がそれをさせないように必死で阻止してるだけで。
ハッ。笑える。
「猛!!」
ほらな?こいつはこうやって、抱きしめてくれるんだ。
俺みたいなやつを、精一杯抱きしめてくれるんだ。
「猛??」
本気で過去を後悔した。こいつを不安にさせた過去を、捨ててしまいたいと思った。
そして、澄子の過去でさえ捨ててしまいたい。
生まれたときから、今もこれからもずっと俺が傍にいたかった。
澄子が生まれたときから一緒だったら、俺もこんな性格じゃなくて社交的だったりして。
・・・・笑える。

