「帰って」
聞いた事もない、澄子の冷たい声。
俺は柄にもなくショックだった。
パタンと閉まる澄子んちの玄関のドア。俺はそれを見つめる事しか出来なかった。
ずっとそこにいれるわけもなく、しょうがないので歩いて駅まで向かう。
こんなに怒った澄子は初めてだ。
なんだよ?なんでそんな怒んだよ?
多加子の事・・・だよな?
・・・別に過去とか関係なくないか??今は澄子の事が好きだし。今っていうか、女のこと好きになるのなんか澄子が初めてだし。
ちゃんとそう言えばよかったのか?
・・・んな恥ずいこと言えっかよ。
「・・・」
俺は振り払われた手を見つめた。初めての澄子からの喧嘩にどうしていいか分らなくて・・・
澄子に何を言ってやるべきかが分らなかった。

