無口なDarling



「・・・お前に貢ぐ金なんかねぇっつの」


猛は冗談っぽく笑いながらそう言った。


「ひどー。・・・あっ!もう行くね!彼、心配するし!じゃあデートの邪魔してごめんね!」


「おー」


多加子は私の顔がおもいっきり沈んだのを見ると慌てて行ってしまった。



そんなに悪い人じゃなかったな。



・・・もっと悪い人なら・・・逆によかったのにな・・・



繋いでいた手を離すと、猛は不思議そうに顔を覗いてきた。


「澄子?」


見られたくない。


こんな惨めで、涙目で・・・


__________________________


多加子が去った後、繋いでいた手を離された。


「澄子?」


顔を覗こうとしても、下を向くので見えない。


・・・怒ってんのか?


「澄「猛・・・なんか人すごいしさ!帰ろうよ!」」


俺の言葉を遮り、作り笑顔を見せた。


まぁ、こんな人ごみから抜け出せるのは俺としてはラッキーだけど、澄子は楽しみにしてたんじゃないのか??


そんな俺をよそに入口にスイスイと戻っていく。


まぁ・・・いいか。


どうせ俺んち寄るだろうし、そこで機嫌を直させよう。


そんな考えが甘かった。