無口なDarling



「猛・・・今日、猛のお家に寄ってもいい?」


なんだか、今日は猛にギュってされてたい。



「あー・・・」


いつもなら、意地悪そうに笑って“誘ってんの?”とか聞いてくるのに


今日はなんかバツの悪そうな顔・・・


「猛?」


腕に抱きつくと、パッと目が合う。



「・・・いーよ」


何かを少し考えた後、猛は軽く微笑んでおでこにキスをくれた。



「?」


パッとおでこを両手で押さえると、猛はスタスタと前を歩いて行ってしまった。



・・・猛?



いつもと何かが違う猛に疑問を抱きながら、いつもと同じように猛の腕に絡まった。




「猛、部屋に着いたらギュってしてくれる?」


「フッ、いいけど?」


猛は意地悪そうに笑いながら、私の髪を撫でる。



良かった。いつも通りの猛だよね。




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「お邪魔しま~す」


「誰もいねーよ」


スリッパを履きながら声をかけると、家の鍵をカバンに入れながら猛がそう言う。


「猛の両親は忙しいね?」


「まーな。仕事が好きなんだろ」


寂しそうな顔もせずに、トントンと階段を上って行く。


「あ!待ってよ~」


先に行ってしまった猛の後を追うように駆け足で階段を上った。