無口なDarling



「おい」


再び手元が暗くなったと思うと、そこに居たのはさっきから会いたくてたまらなかった猛がいた。



「猛!」


猛の隣には麻生君では無い猛の友達の允君が立っていた。



一言で言えばちょっと悪そうな感じな彼は、猛の友達とは言っても喋った事は無かった。

(猛も充分悪そうなんだけど・・・)


「おーやぎ君~俺のダチの女に何してんのかな~?」


允君は大八木君に近寄り、ガシっと肩を掴んだ。


「少女趣味のおーやぎ君?キモチワルイよー?」


「あ・・・」


彼は、大八木君の方を掴んだまま睨みつけ暴言を吐く。


そこまで言わなくても・・・っと思っていると猛が允君の腕を掴んだ。



「やめろって。別に何もされてねーから」


私の心を読んだように、猛が允君を止めた。


「タケ、でもこいつ澄子チャンの手、触ってたぜー?」


「・・・」


そう言われた猛は、背の低い大八木君の顔の高さに合わせるように腰をかがめた。


「猛、やめ・・・」


私は何もされてないし、殴ったり怒鳴ったり・・・そうゆうのは止めて。そう言おうとすると


「金輪際、澄子に近づくな」


一言そう言うと、猛は私の散らばったカバンを拾って私の腕を掴んで歩き出した。


「允も。あんま挑発すんなよ。じゃあな」


允君に別れを告げて、猛とそのまま下駄箱まで向かった。