「このXに~」
聞き飽きたXだのYだの。数学ってどうも苦手。
ふぁーっとあくびをすると、後ろから千代が話しかけて来た。
「ね!柚木君何か言ってくれたの?」
「うん!たまたま会って、ちょっと威嚇してくれた」
自然と彼の方に視線を向けると、私の視線を感じビクン!っと怖がっている。
「クスクス。よっぽど柚木君が怖かったんだね!」
「でも何もされて無いし、ちょっと可哀相だけどさ」
掴まれた腕は痛かったけど・・・
「でも付き合ってあげられないんだし、ね?」
うん。猛以外の人とは絶対付き合えない。
「実はね?麻生君にメールでちょっと言っておいたの」
「え?」
「澄子が男の子にメアド渡されてるって」
え~~?いつのまに?
だから猛あの時来てくれたのかな?麻生君に聞いて?
“何かあってからじゃ遅せーんだからな”
猛心配してくれたんだ・・・
「早く授業終わらないかな・・・」
「え?」
早く、猛に会いたい。

